2009(平成21)年8月、小型人工衛星「UNITEC-1」に搭載されるコンピュータの選考会が行われ、道内では唯一、北海道工業大学(現 北海道科学大学)が満点優勝で搭載権を獲得しました。
2009年8月10日から13日にかけ、九州工業大学にてUNITEC-1に搭載されるコンピュータの選考会が行われました。
本学からは、電気電子工学科3年の島谷悠花さん、機械システム工学科2年の亀井卓也さん、松井英祐さんの3名が製作したコンピュータがエントリーし、見事満点優勝。
東京理科大学、高知工科大学、東北大学、電気通信大学、慶応義塾大学と並び搭載権を獲得しました。
当時を振り返り、3名からお話を伺いました。
島谷悠花さん
「開発当時バックアップをしてくださった先輩方の中には大学衛星HIT-SAT開発に関わっていた方も多く、開発の際に得られたノウハウを教えていただく貴重な機会となりました。 本戦では残念ながら3位となりましたが、何度も耐久試験に耐えた耐久性を評価して頂き、東京大学内で実施された搭載する衛星「UNITEC-1」の動作試験に使っていただいたことはとても嬉しかった思い出です。 大学入学の時に抱いていた夢、「自分が開発に関わったものが宇宙に上がる」という経験ができたことは、私の一生の財産となりました。 関わってくださった先生方や先輩方、「好き」を追求できる環境を与えてくださった北海道工業大学に、この場をお借りして改めて感謝を申し上げます。 法人創立100周年を迎えられる北海道科学大学が、今後も夢を見られる、叶えられる、学生達の希望が育つ土壌であり続けますよう願っています。」 |
亀井卓也さん
「小型衛星「Unitec-1」の搭載権利をかけた予選会 そこで行われたテストは、 基本的な動作を確認する試験、真空状態で温度変化を加えての動作試験、 そして大きく揺らしたあとで動作を確認する振動試験の3つでした。 私の担当は衛星を格納する容器に関するもので、搭載する電子回路の固定や重量管理、 そして振動試験の準備も含まれていました。 振動試験の事前実施は北海道工業試験場の設備を借りて行われました。 大きな樽のような機械の上に自分たちの衛星が載せられ、 打ち上げるロケットの揺れよりも大きな振動が加えられる試験です。 取り付けた部品が飛んでくるんじゃないかとか、 箱の中で電子部品がはずれて大暴れしてないかとか考えながら、 ひたすら揺れが収まるのを待つのです。 そんな過酷な試験を事前準備でも予選会でも耐えたのですから、 役割はきちんとこなせたと言えます。 そしてその役割をこなせたのは、 工業試験場の職員の皆さんや超小型衛星開発経験者である先輩たちの力添えの賜物でした。 後から知った話なのですが、 道工大チームの部品は衛星本体のテストでも使われていたそうで、 他チームよりも余計に振動させられたらしいのです。 真相は闇の中なのですが、当時集まった10大学のうちで一番タフだったのは 道工大チームのだと今でも信じております。」 |
松井英祐さん
「当時はCADソフトによる設計、実験手順など未経験の部分が多々ありましたが、 先輩方からは多くのご指導、ご協力をいただきました。 完成を間近にした頃、私のミスで装置が故障してしまった事がありました。 慌てふため事しか出来なかった所、的確なご指示、はげましをいただき無事に復旧、 装置の完成につなげる事ができました。」 |
全国22の大学、高専により開発された小型人工衛星「UNITEC-1」は、2010(平成22)年5月21日6時58分22秒、種子島宇宙センターから日本初の金星探査機「あかつき」を打ち上げるH2Aロケットに相乗りして宇宙へと飛び立ちました。
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